人口集中地域の大都市圏には家のない人が集まってしまった
戦後は家が無くなっただけでなく都市に人が密集して更に住宅難
五五年以降になると衣食においては戦前の水準を超えるに至りますが、なお居住水準は回復しないままでいます。しかも経済復興を背景に三大都市圏に人口が集中することになり、戦争による住宅の絶対的不足に加え、人口集中地域の大都市圏における住宅難という新たな事態が生じてきます。日本住宅公団の設立そこで一九五五年に、大都市地域における中堅勤労者を対象にした広域的な住宅供給と宅地開発を目的とする日本住宅公団が設立されることになります。
その意図は第一条(目的)に記されています。すなわち「日本住宅公団は、住宅不足の著しい地域において住宅に困窮する勤労者のために、耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行うとともに、健全な市街地を造成するために土地区画整理事業を施行することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする」としています。ここにおいても「社会福祉の増進」という文言を使っているのは、低所得層のみならず、一般勤労者の居住確保もまた国の責務と政府自身が受け止めていたからでしょう。
わざわざ、これら公庫、公営、公団住宅法の目的を紹介したのは、その後、これらの法律に基づく各セクターの計画がどう展開していくか、その重要なポイントになると考えるからにほかなりません。これら公庫、公営、公団の「三本柱」による施策の最大の特徴は一戸でも多く建てる戸数主義、賃貸住宅より持ち家を取得させる持ち家主義を貫徹するところにありました。だが、その発足時においてはまだ、それが色濃く貫徹されるまでには至っていません。
家賃並みの支払いで持ち家を取得できるとなれば、ミニ開発住宅が増えるのは自然の成り行きだったといっていいでしょう。これでは公営住宅法をはじめ各住宅法が掲げた理念は、まったく雲散霧消してしまったとしかいいようがありません。公営住宅法の趣旨を解説した建設官僚の気負いはおろか、法の趣旨さえ押しつぶす計画の圧力だったのです。国民の居住を豊かなものにすることよりも、経済成長の確保を優先したわけです。
このように官民挙げて戸数と持ち家を増やすのに懸命になったのを反映して、第一期住宅建設五力年計画では、公的資金による住宅は計画を一四万戸下回りましたが、うち公団住宅だけは計画を達成、全体では計画を四万戸上回る結果を残すことになります。
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